2025年5月30日
【アニサキスとは】
アニサキスとは海産魚介類に寄生する幼虫のことで、アニサキスの幼虫はサバやアジ、サンマ、カツオ、イワシ、マグロ、サケ、ヒラメ、イカなど様々な魚介類に寄生します。体長は2~3㎝程で、幅は0.5~1㎜あり、白い半透明の糸のように見えます。
アニサキスの幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉(身の部分)へ移動することが知られています。
厚生労働省アニサキスによる食中毒 東京都健康安全研究センター(サバに寄生したアニサキス)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
【アニサキス症】
アニサキスによる食中毒(アニサキス症)は冷凍や加熱が不十分な、生の魚介類を食べることで起こります。アニサキスの幼虫は胃の壁に食いつくことが多いですが、稀に十二指腸、小腸に食いつき症状を引き起こすことがあります。
▷胃アニサキス症
生の魚介類を食べてから1時間~数時間以内に激しい胃の痛みや、嘔気、嘔吐などの症状が現れます。
▷腸アニサキス症
生の魚介類を食べてから数時間~数日以内に激しい腹痛、嘔気、嘔吐、腹部膨満感などの症状が現れます。稀に腸閉塞を引き起こすとがあります。
▷消化管外アニサキス症
稀に胃や腸の壁を突き破り腹腔内に出てしまうことがあります。腹痛をはじめ、様々な症状を引き起こすことがあります。
【アニサキス症の予防】
魚を購入する際には新鮮な魚を選び、購入後は速やかに内臓を取り除くようにしましょう。魚をさばく際に、目視で幼虫がいないか確認します。
時間が経過した場合には冷凍、または加熱した調理法にしましょう。
▷冷凍 -20℃で24時間以上
▷加熱 70℃以上、または60℃なら1分以上
【アニサキス症の治療】
胃アニサキス症が疑われる場合に、緊急で胃内視鏡検査(胃カメラ)を行います。胃の粘膜に刺入したアニサキスを確認し、鉗子を使用し頭部から把持、幼虫を摘出します。

小腸まで幼虫が進んでしまった場合には、内視鏡の長さでは届かないため摘出はできません。胃腸薬や抗アレルギー薬、痛み止めを使用し、症状を緩和します。
消化管外アニサキス症や腸閉塞を合併した場合には、入院治療が必要となるケースもあります。魚介類を摂取後の激しい腹痛の際には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
当院では胃アニサキス症が疑われる方への緊急内視鏡検査を実施しています。外来の混雑具合によりお待たせしてしまう場合も御座いますので、受診を希望される方は、一度お電話にてご連絡くださいますようお願いいたします。