胃がんは日本において罹患数が多い癌種の一つです。

以前は日本の部位別がん死亡数第一位でしたが、現在は男性では第三位（1位：肺がん、2位：大腸がん、3位：胃がん、4位：膵臓がん、5位：肝臓がん）、女性では第五位（1位：大腸がん、2位：肺がん、3位：膵臓がん、4位：乳がん、5位：胃がん）まで順位を下げました。

日本は世界的にみても胃癌罹患率が高い国ですが、その背景にはHP（ヘリコバクター・ピロリ）菌の感染が関与しています。HP菌は日本の井戸水に生息しており、井戸水を使っていた日本人の多くに感染が拡がりました。その後は、感染者からの経口感染で親や祖父、祖母から子へと感染していき、井戸水を使っていない現代でも多くの方に感染が見られます。

HP菌は適切な治療（抗菌薬の内服）によって除菌を行うことが可能です。日本国内で健診など広く胃カメラ検査が行われるようになり、HP菌が除菌されるようになったことが日本での胃がん罹患率が減っている要因の一つと言えます。 HP菌はほとんどが幼少期に感染することがわかっており、胃の症状がない方でも、家族内に胃がん罹患者がいる方、過去にHP菌除菌をしている方がいる場合には、一度胃カメラ検査を行うことが推奨されます。

▼HP菌に感染していない正常な胃

▼当院でHP菌感染を指摘された胃（萎縮性胃炎）

厚生労働省　統計情報　HP　人口動態調査（がんによる部位別死亡者数等）