
超音波検査(腹部エコー)
超音波検査(腹部エコー)
超音波検査は、プローブという機器を体に当てて、音波を体内に送ることで臓器の状態を画像化する検査です。放射線を使用しないため、被爆のリスクはなく、妊婦の方やお子様にも安全に行える検査です。超音波検査は心臓や腹部臓器、血管系など様々な領域で使用されますが、当院では主に腹部エコーを施行しております。腹部エコーでは、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの消化器疾患をはじめ大血管系、膀胱、前立腺などの臓器を中心に、病気や異常をチェックします。
以下の症状がある場合、腹部エコーを受けることをおすすめします。
その他にも、症状がなくても半年や1年に1回、増悪や増大していないかフォローが必要な病気もあります(胆嚢ポリープや膵嚢胞など)。超音波を受けたほうがいいのかわからない、病気があるか心配などありましたらお気軽にご相談ください。
腹部エコー(超音波検査)は、病気や異常を早期に発見するための重要な検査です。放射線を使用しないため安全で、痛みもないことから、定期的な健康チェックや症状がある場合におすすめです。特に膵臓、肝臓、胆嚢などの消化器系疾患は、早期発見が治療の鍵となります。
膵臓は、消化酵素を分泌したり、インスリンを分泌する重要な臓器です。
膵炎
膵臓が炎症を起こしている状態を膵炎と言い、急性膵炎と慢性膵炎に分かれます。日本において飲酒によるアルコール性膵炎の患者は増加しており、腹痛や消化不良など様々な症状を引き起こします。超音波で膵臓の腫れや膵石の有無、周囲の液体貯留などを確認することができます。
膵嚢胞
膵臓に先天的、後天的に嚢胞(液体の袋のようなもの)ができる病気です。体に問題を起こさず経過観察だけでよい嚢胞もありますが、放っておくと膵臓の機能を悪くしたり、がんになる種類の嚢胞もあります。初期では症状が出現しないことが多いため、健診の超音波検査やCT検査で偶発的に発見されることも多々あります。
膵臓がん
膵がんは全国的に患者数が増加傾向にあり、治療が難しいことから早期発見が重要な病気です。しかし、初期に症状が現れにくいため、発見されたときには進行した状態で見つかることも多々あります。超音波検査にて膵がんを発見するだけではなく、前がん病変というがんになりやすい病気を見つけたり、微小膵がんといわれる超音波やCT検査で発見することのできない微小な膵がんに伴う病態(膵臓の萎縮や主膵管の拡張など)を検査することが可能です。
肝臓は体内で最も大きな臓器で、代謝、解毒、胆汁の分泌など、体にとって重要な機能を担っています。
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積する病気で、飲酒や肥満、糖尿病が原因として挙げられます。超音波検査では、肝臓のエコー像が明るく見え、脂肪が蓄積していることがわかります。脂肪肝は進行すると肝炎や肝硬変に繋がることがあるため、早期に発見することが重要です。
肝炎
ウイルスや飲酒(アルコール性)など様々な要因によって、肝臓に炎症が起きる病態を言います。慢性肝炎と急性肝炎があり、治療が遅れると肝硬変や肝不全に陥ることもあるため注意が必要な疾患です。超音波にて肝臓の炎症による腫大や、胆嚢委縮・浮腫、脾臓の腫れ、Periportal colar signなどを観察します。
肝硬変
肝硬変は、肝臓の慢性的な障害が進行することで、肝組織が繊維化し硬くなる病気です。腹部エコーでは、肝臓の表面が凸凹していたり、肝臓が縮んでいる様子を確認することができます。また、肝硬変が進行すると、腹水や脾臓の腫れが見られることもあります。肝硬変になると肝がんの発症リスクが非常に高くなるため定期的な超音波検査が必要になります。
肝臓がん
肝臓がんは、肝硬変や慢性肝炎が原因で発症することが多い疾患です。腹部エコーで肝臓内に異常な塊や腫瘍を発見することができます。
胆嚢は、肝臓で作られた胆汁を貯める役割を果たしており、消化を助けるために重要な臓器です。
胆嚢ポリープ
胆嚢内に数mmのポリープができることがあります。小さいものがほとんどでありCTやMRIでは発見できないこともあります。超音波では小さいポリープから大きいものまで観察が可能です。血流があるものや、10mmを超えるもの、広基性(ポリープの形態)のものは胆嚢がんとなっている可能性があり手術が必要となるため、小さいポリープでも定期的なフォローが必要となります。
胆石症
胆石症は、胆嚢内に胆石ができる病気で、腹部エコーでは胆石を確認することができます。胆石が多発した場合や胆管に詰まると、痛みを引き起こしたり、胆嚢炎を引き起こすことがあります。
胆嚢炎
胆嚢炎は、主に胆石が原因で胆嚢に炎症を起こす病気で、腹部エコーでは胆嚢が腫れている様子や、胆嚢壁の厚みが増していること、周囲の炎症を確認できます。また、胆嚢内に膿が溜まっている様子が見られることもあります。急性胆嚢炎が発症すると、激しい腹痛や発熱を伴うことがあります。
胆嚢がん
超音波検査によって胆嚢内にある腫瘍を観察することが可能です。胆嚢がんは進行すると肝臓や十二指腸、結腸に浸潤を起こすことがあります。リンパ節転移を起こしやすい病気であり早期発見が重要です。
腎臓は、体内の老廃物をろ過して尿として排出する重要な臓器です。
腎結石
腎結石は、腎臓内に石ができる病気です。腹部エコーで、腎臓内に結石が映し出されることがあります。結石が落石すると尿管を閉塞し、尿管結石となることがあります。
腎臓腫瘍
腎臓に腫瘍ができることもあります。超音波で腎臓内に腫瘍を発見することができます。
腎不全
腎不全は、腎臓が十分に機能しなくなる状態です。腹部エコーでは、腎臓が萎縮していることを確認できます。腎不全が進行すると、透析治療が必要になる場合もあります。
脾臓は、血液のろ過や免疫機能に関与する臓器です。
脾腫(脾臓の腫れ)
脾腫は、脾臓が異常に腫れる状態です。腹部エコーで脾臓が大きくなっていることが確認でき、脾腫の原因には感染症や肝疾患、血液疾患が挙げられます。脾臓が大きくなると、脾臓が破裂するリスクも高くなるため、注意が必要です。
大動脈瘤
大動脈瘤は、大動脈が膨らんで血管壁が薄くなる状態です。腹部エコーでは、大動脈の膨張を確認することができ、特に高齢者や動脈硬化のある方では、定期的な検査が推奨されます。
膀胱は、尿を貯める役割を担う臓器です。腹部エコーでは、膀胱内の異常を調べることができます。
膀胱結石
膀胱結石は、膀胱内に石ができる病気です。エコーで膀胱内に結石が見つかることがあり、結石が尿の流れを妨げることで痛みを引き起こすことがあります。
膀胱がん
膀胱がんは、膀胱の内壁の細胞ががん化する病気です。腹部エコーでは膀胱内に腫瘍が見られることがあります。膀胱がんは血尿を伴うことが多く、肉眼的に血尿を認めた際や、健診で潜血陽性を指摘された方は、腹部超音波検査を行うことを推奨します。
前立腺は、男性の生殖器に関連する臓器で、尿の通過にも関わっています。
前立腺肥大
前立腺肥大は、加齢に伴い前立腺が大きくなる状態で、尿道を圧迫し、尿の出が悪くなることがあります。腹部エコーで前立腺が大きくなっている様子を確認することができます。
前立腺がん
前立腺がんは、男性に多く見られるがんで、早期に症状が出にくいのが特徴です。腹部エコーでは、前立腺内に腫瘍が見つかることがあります。
検査前の準備
腹部エコーを受ける際は、検査の6時間前から食事を摂ることはできません。水分は検査1時間前まで、お茶や水のみ可能です。
検査の実施
ベッドに横になり、腹部にゼリーを塗って検査を行います。
結果説明
検査後はすぐに結果を聞くことも可能です。当日は検査のみ希望の場合は後日結果説明のための外来を予約していただきます。
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