
CT検査
CT検査
CT検査(Computed Tomography)は、X線を用いて体の断面画像を撮影する検査方法です。短時間で体内の状態を詳細に観察することができ、従来のX線検査よりも高精度な情報を得ることが可能です。
胸部CT検査は、肺や心臓を含む胸部の内部構造を詳細に観察することが可能です。レントゲン検査では捉えきれない細かな異常や病変を鮮明に映し出すことができるため、様々な胸部疾患を早期に発見することができます。ここでは、胸部CT検査で確認できる代表的な病気についてご説明します。
肺炎
肺炎は、細菌、ウイルス、真菌などの微生物によって引き起こされる肺の炎症です。胸部CT検査では、肺炎による炎症や感染の範囲を写しだし、肺炎像を観察することで原因となる疾患を推測することができます。
肺炎が進行すると、肺の中に白い影が現れることがあり、これが肺炎を示すサインです。CT検査は、肺炎が片方の肺に限られているのか、両側に広がっているのか、また胸水が溜まってないかなど細かく評価できます。これにより、適切な治療方法を決定する手助けになります。
肺がん
肺がんは、遺伝的素因や大気汚染、食習慣、特定の呼吸器疾患の既往など様々な要因で発症することがわかってきていますが、最も影響が大きいものが喫煙です。喫煙により肺細胞の遺伝子に傷がつくことでがん細胞が発生することがわかっています。胸部CT検査は左右両肺の全体を観察することができるため、肺にできたがんを発見することが可能です。
胸部CT検査では、腫瘍の大きさや浸潤の範囲、リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無なども調べることができます。
肺気腫
肺気腫は、喫煙やPM2.5などの有害物質を長期間吸引したことにより、肺の中の空気を通す細い管(気管支)が壊れて拡張することにより、正常な肺の機能が損なわれる病気です。これにより呼吸が困難になり、息切れや咳などの症状が現れます。
CT検査により肺の間に空洞(気腫性病変)ができているか、また肺の構造が破壊されているかを観察することができ、病気の進行状況を評価するのに役立ちます。
肺結核
肺結核は、結核菌によって引き起こされる慢性の感染症で、肺に炎症を引き起こします。胸部CT検査を行うことで、肺結核による結核巣の存在や、結核が広がっている範囲を詳細に観察することができます。
結核は、初期の段階では症状が軽微であることが多いため、無症状であっても感染の可能性があります。結核巣の確認や、また結核が治癒した後の瘢痕(傷痕)も確認できます。
気管支拡張症
気管支拡張症は、気管支(呼吸の通り道)が異常に拡張し、膿や分泌物がたまりやすくなる病気です。慢性的な咳や痰が特徴で、長期的な肺の感染や炎症が原因で発症します。
胸部CT検査では、気管支が拡張している部分を非常に詳しく確認できます。気管支の異常な広がりや、痰が溜まっている場所を把握することができ、治療計画(排痰薬、気管支拡張薬、吸入薬など)を立てる際に役立ちます。適切な治療を受けることで、症状の改善や病気の進行を抑えることが可能です。
気胸
気胸は、肺の外側に空気が漏れ、胸腔内に空気がたまる病気です。これにより、肺が圧迫されて突然呼吸が困難になることがあります。胸部CT検査は、気胸が発生した場所や、空気がの溜まり具合を確認できます。
胸部大動脈瘤
胸部大動脈瘤は、胸部を通る大動脈が膨らんで異常な膨張を起こす疾患です。これが破裂すると命に関わる危険な状態となります。胸部CT検査では、大動脈の膨らみを詳細に確認することが可能です。
CTによって、大動脈瘤の大きさや位置、膨張している部分を評価することができるため、治療が必要なものかどうか決定するためにも重要な役割を担っています。早期に発見し、適切に対処することで、命を守ることが可能です。
胸水貯留
胸水貯留は、胸腔内に液体がたまる状態で、様々な疾患で引き起こされます。これが原因で呼吸困難や胸の圧迫感が生じることがあります。胸部CT検査では、胸腔内に溜まっている液体の量や、その原因を調べることができます。
腹部CT検査は、内臓の状態を詳細に観察するための重要な検査方法であり、さまざまな病気や異常を早期に発見することができます。特に肝臓や胆道、膵臓などの消化器系の疾患に対して、高い診断精度を持っています。今回は、腹部CT検査によって発見されることのある病気について、具体的に説明いたします。これらの病気は、早期発見・早期治療が必要なものが多く、患者様の健康維持に重要な役割を果たします。
肝血管腫
肝血管腫は、肝臓に発生する良性の腫瘍で、血管が異常に増殖したものです。通常、症状が現れないことが多いのですが、腹部CT検査で偶然に発見されることがあります。肝血管腫は、ほとんどの場合、治療が必要ない良性の疾患です。腹部CT検査では、肝血管腫が血管に富んだ構造を持っているため、特徴的な画像として映し出されます。肝血管腫が大きくなると、圧迫症状や出血などが起こることがあります。
肝内石灰化
肝内石灰化は、肝臓内にカルシウムが沈着する現象です。これには、過去の感染症や慢性肝炎、肝臓の傷害が関連していることが多いです。腹部CT検査では、石灰化部分が明確に白く映し出されます。石灰化自体が肝臓に影響を与えることはほとんどありません。
肝内胆管拡張症
肝内胆管拡張症は、肝臓内の胆管が異常に拡張してしまう状態です。この疾患は、胆管自体に異常があり拡張してしまう場合と、胆石や胆管がん、あるいは膵臓疾患などが原因で胆管が狭窄、閉塞することで起こる場合があります。拡張した胆管は、腹部CT検査において明確に確認することが可能です。胆管が拡張することで、胆汁の流れが滞り、黄疸や腹痛を引き起こすことがありますので、早期の診断と治療が重要です。
肝内胆管結石
肝内胆管結石は、肝臓内の胆管に結石が形成される疾患です。これも腹部CT検査で容易に発見できます。胆石が胆管を塞いでしまうと、胆汁の流れが悪くなり、黄疸や激しい腹痛を引き起こすことがあります。また、胆管閉塞が長期に続くことにより肝臓が萎縮し、がんが発生することもあり症状が進行する前に発見し、適切な治療を行うことが重要です。
肝嚢胞
肝嚢胞は、肝臓に袋状の空間(嚢胞)が形成される疾患です。嚢胞内には液体がたまり、通常は無症状ですが、大きくなると肝臓自体や周りの臓器を圧迫することがあります。腹部CT検査にて嚢胞を確認できれば、増大していないか経過観察することが可能です(診断後の経過観察は腹部超音波検査でも可能です)。
脂肪肝(しぼうかん)/
内臓脂肪(ないぞうしぼう)
脂肪肝は、肝臓内に過剰な脂肪が蓄積する状態です。過度の飲酒や肥満、糖尿病、高脂血症などが原因となることが多いです。腹部CT検査では、肝臓の脂肪含量が多い場合、肝臓の密度が低く映し出されるため、脂肪肝の診断に役立ちます。脂肪肝は初期段階では症状が現れませんが、進行すると肝機能障害や肝炎、さらには肝硬変に進行することがあります。早期に脂肪肝を発見し、生活習慣の改善を行うことが、肝臓の健康を守るために重要です。
慢性肝障害
慢性肝障害は、長期間にわたる肝機能の低下を指します。これは、慢性肝炎やアルコール性肝疾患、脂肪肝などが原因で発症することがあります。腹部CT検査では、肝臓の形状や構造に異常が見られることがあり、肝硬変や肝臓の線維化が進行している場合は、特徴的な画像が得られます。慢性肝障害は進行する前に発見し、早期に治療を開始することで、肝臓の機能を維持することが可能です。
肝臓がん
肝臓から発生するがんで、胃がんや大腸がんなどと比較すると患者数は多くないがん種になります。しかし、発見が遅れると肝臓内や他の臓器に転移を起こし、治療が困難となることもあります。肝臓がんの発生には背景に慢性の肝疾患があることが多く、既往がある方は定期的な検査を行うことを推奨します。
胆嚢ポリープ/胆嚢がん
胆嚢内にできる腫瘍で、通常胆嚢ポリープが成長することで胆嚢がんへと変化していきます。ポリープのうちに早期発見と、経過観察が必要です。発見後、がんへのリスクが低い場合には、定期的な腹部超音波検査にて経過観察も可能です。
慢性膵炎、急性膵炎
膵臓の分泌機能が損なわれる状態を慢性膵炎と呼びます。慢性膵炎になると膵臓が萎縮し、内部に膵石ができることがありCTで確認できます。慢性膵炎の方や、アルコールの大量摂取歴がある方、脂質異常症がある方などは、膵臓に慢性的な負荷がかかり急性膵炎を発症することがあります。膵臓に強い炎症が起こることで、膵臓が腫大し、周囲に炎症が波及する像をCTで確認できます。
膵臓がん
膵臓にできるがんで基本的に無症状であることが多く、発見が遅れることが多い病気です。CTで膵臓に腫瘍を発見した場合、早急に専門治療が可能な病院をご紹介いたします(膵臓には膵嚢胞や脂肪沈着、副脾など良性疾患もあり、鑑別にはMRIやPET-CT、超音波内視鏡検査などの検査が必要になることがあります)。
問診・準備
医師が患者様の症状や経過を確認し、検査が必要と判断した患者様に検査の説明を行います。
撮影
台の上で横になり円筒状の機械を通過することで撮影できます。撮影は5分から10分程で終わります。
結果説明
検査終了後、当日または後日再受診していただき結果説明を行います。
※閉所恐怖症がある方は、検査前に看護師か医師へご報告ください。植込み型除細動器やペースメーカーを挿入中の患者様は原則当院でのCT撮影はお断りしております(CT検査により誤作動を起こす恐れがあります)。
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